〜知っておきたい次のステップ〜
子宮頸がん検診を受けたあと、「異常があります」と言われると、誰でも驚き、不安になるものです。ですが、「異常あり」=「がん」というわけではありません。今回は、検診で異常が見つかった場合にどうすればよいのか、詳しく解説します。
◆ 子宮頸がん検診とは?
子宮頸がん検診では、子宮の入り口(子宮頸部)の細胞を採取し、顕微鏡で異常の有無を調べます(細胞診=Pap smear)。検診で分かるのは、がんそのものだけでなく、「がんになる前の状態(前がん病変)」も含まれます。
◆ 「異常あり」とはどういう意味?
検診結果で「要精密検査」と判定されても、必ずしも「がん」ではありません。細胞に軽微な異常が見つかっただけという場合も多くあります。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、異常の種類ごとに次のような対応が推奨されています。
【異常の種類と対応方針】
異常所見 | 内容 | 主な対応 |
---|---|---|
ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞) | 軽微な細胞変化。原因不明のことも多い | HPV検査を併用し、陽性なら精密検査へ、陰性なら1年後の再検査 |
LSIL(軽度扁平上皮内病変) | HPV感染により一時的に起こる細胞異常 | 追加のHPV検査は不要。年齢・既往に応じてコルポスコピーへ |
HSIL(高度扁平上皮内病変) | 前がん病変の可能性が高い | 速やかに精密検査(コルポスコピー+生検) |
📝 ポイント:
- ASC-USではHPV検査の併用が診断の分岐点。
- LSILでは、すでに細胞異常が確認されているため、HPV検査は不要とされており、基本的にはコルポスコピー(拡大鏡診)で精査します。
◆ 精密検査:コルポスコピーと生検
コルポスコピー検査では、子宮頸部を拡大して観察し、異常が疑われる部分から小さな組織を採取します(狙い目生検=ターゲットバイオプシー)。この結果により、前がん病変やがんがあるかどうかを詳しく診断します。
🔍 検査は外来で短時間で行えますが、出血や軽い痛みを伴うことがあります。不安なことがあれば、事前にご相談ください。
◆ HPV検査とは?
HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸がんの主な原因とされており、特に「ハイリスク型(16型・18型など)」の持続感染がリスクとなります。
- ASC-USの所見があった場合は、HPV検査で精査の必要性を判断します。
- LSILやHSILでは、HPV感染の関与が前提とされているため、HPV検査は省略されることが一般的です。
◆ 治療が必要と判断されたら?
精密検査で「高度異形成(CIN2・CIN3)」などの前がん病変が確認された場合は、子宮頸部円錐切除術(LEEPなど)を行うことがあります。がんと診断された場合でも、早期であれば子宮を温存できる治療が可能です。
◆ 最後に:検診を「怖い」で終わらせないで
「異常」と言われるととても不安になりますが、子宮頸がんは早期発見・早期治療が可能な病気です。検診とその後の適切な精査が、将来の安心につながります。焦らず、次の一歩を踏み出しましょう。